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役員法令試験を受験するのは・・・


一般貨物自動車運送事業(運送業)経営許可を受けるには申請後に実施される法令試験ですが、
受験するのは法人の場合は役員1名のみです。
正確には
“許可又は認可後、申請する事業に専従する業務を執行する常勤役員のうち1名”です。

「若い従業員に受験させたい。」
「部長が勉強得意だから受験させたい。」

等のご希望があると思いますが、その方たちが役員として登記されているのであれば受験可能です。
そうでなければ受験資格はありません。

ちなみに“登記されている”とは法務局で取得できる
“法人全部事項証明”(登記簿と言われる方も多いですね。)
に役員として氏名が記載されている方を指します。

「監査役ではダメですか?」とご質問頂きますが、
監査役は常勤役員とみなすことはできませんので受験することはできません。

執行役員は“役員”と名称に入っていますので、受験出来そうな感じがしますが、
会社法上の役員ではありませんので登記されることもありません。
従って受験することはできません。

運輸開始後に受験した役員が退任した場合に
「別の役員が法令試験を受験し直さないといけないの?」
とご質問頂きますが、その必要はありません。
法令試験は許可又は認可時の1回のみです。

これから法人を設立して運送業許可を取りたいとお考えであれば、
設立時の役員を良く考えてから設立することをお勧めします。
もちろん、設立後に役員を追加することもできますが、
手間と費用が発生しますので設立時に法令試験を見据えて役員を決めておく方がベターです。

法人を設立済みであれば、既存の役員で受験するのか、それとも新たに役員を選任して受験するのかを考える事になると思いますが、役員を新たに迎えたとしてもその方と長く一緒にやっていけるかどうかをしっかりと見極めて下さい。
社長が株式の過半数を保有している会社(中小企業は殆どだと思います。)であれば役員は簡単に解任できそうなイメージがありますが、実はそうもいきません。

任期途中で役員を解任することは確かにできます。
しかし、解任された役員は会社法第339条2項
“~解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。”
の規定により会社に対して賠償請求を行う事ができます。
“解任について正当な理由がある場合”についての解釈ですが「なんとなく気に入らない。」とかは当然ダメです。

判例によると正当な理由として認められるのは
・心身の故障
・法令や定款に違反する行為
・不適切な業務執行
・経営上の失敗・経営能力の欠如
等です。

もし裁判になれば会社側が上記の事実があった事を客観的に証明しなければなりません。

運送関連の事業者様ではないのですが、ある許認可で関わった事業者様で実際に役員解任を巡って裁判になった事例を見たことがあります。

法令試験から話が脱線気味になってしまいましたが、安易な役員選任はリスクがあると考えて頂ければと思います。

法令試験を受験する方が決定したら、その方は直ちに受験勉強に掛かって下さい。
当HPでも触れていますが九州運輸局実施分の役員法令試験は難関試験です。
合格率は高い時でも5割を下回ります、低い時では1割以下です。
勉強を始めるには早い事に越した事はありません。

最後に宣伝になってしまいますが、受験勉強の際は当事務所の“法令試験対策講座”
ご活用頂ければ幸いです。

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