ブログ

適性診断受診・特別な指導について

一般貨物自動車運送事業者(運送業)運転者に対して特別な指導を行い、
適正診断を受診させなくてはなりません。
適性診断は国土交通大臣の認定を受けた機関で受診する事ができます。
(例:NASVA(独立行政法人自動車事故対策機構))

特別な指導は社内で行いますが外部機関に委託しても構いません。
外部機関に委託する場合ですが、適性診断とは異なり認定を受けた機関である必要はありません。

特別な指導の記録・適性診断受診結果の保存期間は3年です。

特別な指導・適性診断受診の根拠となる法令は下記の通りとなります。

貨物自動車運送事業輸送安全規則 第10条2項
一般貨物自動車運送事業者等は、国土交通大臣が告示で定めるところにより、次に掲げる運転者に対して、事業用自動車の運行の安全を確保するために遵守すべき事項について特別な指導を行い、かつ、国土交通大臣が告示で定める適性診断であって第十二条の二及び第十二条の三の規定により国土交通大臣の認定を受けたものを受けさせなければならない。
1 死者又は負傷者(自動車損害賠償保障法施行令(昭和三十年政令第二百八十六号)第五条第二号、第三号又は第四号に掲げる傷害を受けた者をいう。)が生じた事故を引き起こした者
2 運転者として新たに雇い入れた者
3 高齢者(六十五才以上の者をいう。)

(役員法令試験で出題可能性のある条文ですので、法令試験受験予定の方はこの機会に押さえておきましょう。)

1~3に該当する人を一般的には
1事故惹起(じゃっき)運転者
2初任運転者
3高齢運転者

と呼んでいます。

新たに運転者を雇用した際には必ず“自動車安全運転センター”から
“運転記録証明書”を取り寄せて事故歴を把握して下さい。
事故歴によっては初任運転者では無く事故惹起運転者として扱う事になります。

それでは順を追って、具体的に受診する適性診断、特別な教育を解説していきます。

1事故惹起運転者

適性診断の種類及び受診義務者
特定診断Ⅰ
1死亡又は重傷事故を起こし、かつ、当該事故前の1年間に事故を起こしたことがない者
2軽傷事故を起こし、かつ、当該事故前の3年間に事故を起こした事がある者

特定診断Ⅱ
死亡又は重傷事故を起こし、かつ、当該事故前の1年間に事故を起こした者

受診時期
 当該事故を起こした後、再度事業用自動車に乗務する前
 ただし、やむを得ない事情がある場合には、乗務を開始した後1か月以内に受診させる

特別な指導

 指導項目
 1事業用自動車の運行の安全の確保に関する法令
 2交通事故の事例の分析に基づく再発防止策
 3交通事故に関わる運転者の生理的および心理的要因並びにこれらへの対処法
 4交通事故を防止するために留意すべき事項
 5危険の予測及び回避
 6安全運転の実技

1~5については合計で6時間以上実施する。
6については可能な限り実施することが望ましい。

実施時期
当該事故を起こした後、再度事業用自動車に乗務する前
ただし、やむを得ない事情がある場合には、乗務を開始した後1か月以内に受診させる

2初任運転者

適性診断の種類及び受診義務者
初任診断
所属する運送事業者において、新たに運転者として採用される方
(前3年間に初任診断を受診された方は除きます。)

運転記録証明書を取り寄せて事故歴が事故惹起運転者に該当する場合は事故惹起運転者が受診する
適性診断を受診させて下さい、特別な教育も同様です。

受診時期
所属する貨物自動車運送事業者において、初めてトラックに乗務する前
ただし、やむを得ない事情がある場合には、乗務を開始した後1か月以内に受診させる。

特別な指導
(前3年間に他の事業者で事業用自動車の運転者として常時選任されたことがある方は除きます。)

指導項目
 1事業用自動車を運転する場合の心構えを理解させる。
 2事業用自動車の運行の安全を確保するために遵守すべき基本的事項を理解させる。
 3事業用自動車の構造上の特性を理解させる。
 4貨物の正しい積載方法を習得させる。
 5過積載の危険性を理解させる。
 6危険物を運搬する場合に留意すべき事項を理解させる。
 7適切な運行の経路の通行及び当該経路における道路及び交通の状況の把握を理解させる。
 8危険の予測及び回避並びに緊急時における対応方法を理解させる
 9運転者の運転適性に応じた安全運転を指導する。
10交通事故に関わる運転者の生理的及び心理的要因及びこれらへの対処方法を理解させる。
11健康管理の重要性を理解させる。
12運転支援装置の特性と使い方を理解させる。
13安全運転の実技

1~12は自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う一般的な指導及び監督の実施マニュアルを用いて15時間以上実施する。
13は実際に事業用自動車を運転させ、道路及び交通の状況に応じた安全な運転方法を添乗等により指導する。
(20時間以上)

実施時期
所属する貨物自動車運送事業者において、初めてトラックに乗務する前
ただし、やむを得ない事情がある場合には、乗務を開始した後1か月以内に受診させる。

3高齢運転者

適性診断の種類及び受診義務者
適齢診断
所属する運送事業者において65歳以上の運転者

受診時期
65歳に達した日以後1年以内、その後3年以内毎に1回

特別な指導

指導項目
適齢診断の結果を踏まえ、個々の運転者加齢に伴う身体機能の変化の程度に応じたトラックの安全な運転方法等について運転者が自ら考えるように指導する。

実施時期
適齢診断の結果が判明した後1カ月以内

特別な教育の実施・適性診断の受診は巡回指導時の重点指導項目になっています。
私もこれまで様々な事業者様を見させて頂いておりますが、実施忘れが多数見受けられるのが
適性診断の受診・特別な教育の実施です。
巡回指導の判定時に「否」判定になると評価を1段階引き下げられますので、実施忘れがないようにしていきましょう。

運送業の許可申請・認可申請・届出・法令試験対策・巡回指導、監査対応は
水澤行政書士事務所にご相談下さい!

各種指定申請や許認可、法人設立後の事などご不明な点はお気軽にお問い合わせください。

関連記事

令和5年5月17日実施分 法令試験について(1)

続きを読む

一般貨物自動車運送事業(運送業)営業所・車庫の選定について(2)

続きを読む