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運行管理者資格者証の返納命令処分について


前回の“整備管理者の業務について”で整備管理者の解任命令に関して触れましたが、
運行管理者も“運行管理者資格者証の返納命令処分”というものがあります。
この処分を受けると、運行管理者資格がはく奪されます。
一般貨物自動車運送事業者(運送事業者)にとって経営に大きな影響を及ぼします。

根拠法令は貨物自動車運送事業法第20条です。

(運行管理者資格者証の返納)
第二十条 国土交通大臣は、運行管理者資格者証の交付を受けている者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、その運行管理者資格者証の返納を命ずることができる。

返納命令処分に関する公示
(九運公第62号 貨物自動車運送事業法に基づく運行管理者資格者証の返納命令発令基準)

(1)資格者が次のいずれかに該当することとなった場合には、当該資格者の運行管理者
資格者証の返納を命ずるものとする。

(ア)事業用自動車を運転した場合(選任運転者に限らず、事業用自動車を運転した行
為をいう。)において、救護義務違反、酒酔い運転、薬物等使用運転、妨害運転、
無免許運転、酒気帯び運転又は大型自動車等無資格運転を行った場合

(イ)運行の安全確保に関する違反の事実若しくはこれを証するものを隠滅し又は改ざ
んを行う等これを疑うに足りる相当の理由が認められる場合

(2)法第18条第1項及び貨物自動車運送事業輸送安全規則(平成2年運輸省令第22
号。以下「安全規則」という。)第18条第1項の規定に基づき選任されている者(以
下「運行管理者」という。以下同じ。)である資格者が次に該当することとなった場
合には、当該資格者の運行管理者資格者証の返納を命ずるものとする。
事業用自動車の運転者(選任運転者に限らず、事業用自動車を運転した者をいう。
以下同じ。)が酒酔い運転、薬物等使用運転、無免許運転、酒気帯び運転、過労運
転、大型自動車等無資格運転、最高速度違反行為又は過積載運行を引き起こした場
合であって、資格者が当該違反行為を命じ、又は容認したとして都道府県公安委員
会から道路交通法(昭和35年法律第105号)第22条の2第2項(同法第66
条の2第2項において準用する場合を含む。)の規定に基づく協議及び同法第75
条第3項(同法第75条の2第3項において準用する場合を含む。)の規定に基づ
く意見聴取並びに同法第108条の34の規定に基づく通知(以下「道路交通法通
知等」という。)があった場合

(3)安全規則第18条第3項の規定に基づき選任されている者(以下「補助者」という。)
である資格者が次に該当することとなった場合には、当該資格者の運行管理者資格者
証の返納を命ずるものとする。
事業用自動車の運転者が酒酔い運転、薬物等使用運転、無免許運転、酒気帯び運
転、過労運転、大型自動車等無資格運転、最高速度違反行為又は過積載運行を引き
起こした場合であって、当該補助者がその業務において運転者がこれらを引き起こ
すおそれがあることを認めたにもかかわらず、運行管理者への報告を行わず、又は
運行管理者の指示に従わずに、当該違反行為を命じ、又は容認したとして都道府県
公安委員会から道路交通法通知等があった場合

(4)行政処分等の基準5(1)①若しくは②に該当した場合又は行政処分等の基準2(1)
に基づき別に定められた基準による運行管理者の運行の安全確保に関する違反の各事
項に対する基準日車等の総和が120日車以上となった場合には、運行管理者に対し、
当該運行管理者の運行管理者資格者証の返納を命ずるものとする。この場合において、
複数の運行管理者が選任されている場合の運行管理者資格者証の返納命令処分は、安
全規則第18条第2項の規定に基づき選任されている者(以下「統括運行管理者」と
いう。)に対して行うものとする。

(5)資格者が実際に運行管理業務を行っていないにもかかわらず、その名義を当該事業
者に使用(選任の届出をした場合を含む。)させた場合には、当該資格者の運行管理者資格者証の返納を命ずるものとする。

(6)運行管理者試験の受験資格の詐称など、不正な手段により運行管理者資格者証を取
得したことが判明した場合には、当該者の運行管理者資格者証の返納を命ずるものとする。

(7)運行管理者資格者証の返納命令処分を受けた資格者に対しては、法第19条第2項
第1号の規定に基づき、処分の日から5年を経過しなければ運行管理者資格者証の交付を行わないものとする。運行管理者資格者証の返納命令に違反した場合も同様とする。

(1)のアは運行管理者が運転者として事業用自動車を運転した時に
救護義務違反、酒酔い運転、薬物等使用運転、妨害運転、無免許運転、酒気帯び運転又は大型自動車等無資格運転を行った場合が該当します。

イは運転日報や点呼記録簿、運行指示書等を隠滅、改ざんした場合が該当します。
(3)は酒酔い運転、薬物等使用運転、無免許運転、酒気帯び運転、過労運
転、大型自動車等無資格運転、最高速度違反行為又は過積載運行を引き起こした場
合に運行管理者が当該違反行為を命じ、又は容認していた場合が該当します。

補助者が点呼を執行していた場合に運行管理者への報告を行わず、又は
運行管理者の指示に従わずに、当該違反行為を命じ、又は容認したとして都道府県
公安委員会から道路交通法通知等があった場合に補助者が運行管理者資格者証を有している場合も該当します。

(4)は安全確保に関する違反の各事項に対する基準日車等の合計が120日車以上になった場合です、統括運行管理者に対して返納命令処分が下されます。
なお、安全確保に関する違反の各事項に対する基準日車等の合計が30日車以上120日車未満の場合は、警告が統括運行管理者に対して行われます。

(5)は運行管理者の名義貸しを行っていた場合です。

(6)は運行管理者試験に不正な手段(カンニング等)を用いて合格し、運行管理者資格者証の交付を受けた場合です。

(7)では運行管理者資格者証の返納命令を受けた資格者は処分の日から5年間は運行管理者資格者証の交付を受けることが出来ない旨が規定されています。
運行管理者資格者証返納命令に違反した資格者も同様です。

このように運行管理者資格者証の返納命令処分の対象は違反の内容が悪質な場合において発令されますが、点呼の未実施漏れで(3)の違反事例が発生してしまう可能性もありますので点呼の確実な実施を行いましょう。

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